ラブレター
ラブレターが書きたくて
君への想いをカタチにしたくて
ペンを握って
もう4時間
僕の中の語彙の少なさに
唖然とするよりも
僕の中の想いの少なさに
愕然とした
この想いを形にしたところで
君への想いの薄っぺらさを
晒け出して仕舞うだけだ
「愛してる」の言葉も
この紙の上では
1oにも満たないんだ
sin だみん
貴女の痛みを、僕は知らない。
貴女の身体を穿り返しても、
貴女の苦しみを、僕が知ることはない。
それでも良いのです。
貴女の、穏やかな横顔を見つめて居られる、
この刹那があれば。 |
独
疎まれる
嫌われる
避けられる
それが僕の特技です。
望んだわけじゃない
でも
サヨウナラ
行ってしまうヒトたち
知ってしまった淡い温もり
失ってしまった鈍い痛み
慢性化した痛みが僕を麻痺させて
次の温もりを
次の痛みを
無意識の中で求め手を伸ばす
「ボクヲキラワナイデ」
どこかで聴いた言葉が風穴の開いた胸の中で響く
去るべきは僕なのかもしれない |
弔
ボクガ死ンダラ
泣イテクレマスカ
アナタガ死ンダラ
ボクハ泣クカラ
亡クシタアナタヲ
哀シンデカ
失クシタボクヲ
哀シンデカ
ワカラナイケレド
ボクハ泣クカラ
アナタガ死ンダラ
ボクハ泣カナイ
本当ノ涙ガ
出ナイカラ
本当ノ笑顔ガ
出ナイカラ
ドウシヨウモナクテ
僕ハ泣ナカナイ
僕ガ死ンダラ
泣イテクレマスカ
アナタハ
泣イテクレマスカ
★
|
在
ツクリモノノ手
ツクリモノノ顔
ツクリモノノ体
ツクリモノノ動作
ツクリモノノ表情
ツクリモノノ演技
本当ノ僕
ツクリモノノ僕
ツクリモノノ本当
本当ノツクリモノ
僕ハドコ?
僕ハドレ?
僕ハナニ?
僕ハ
ツクリモノノ自分
ツクリモノノ僕
ツクリモノノ存在 |
ママはいつも正しかった
ママの言うことはいつも正しい
間違ったことなんて一度もない
僕には嫌いなものがたくさんある
「ニンジンも食べなきゃ大きくなれないわよ」
ママは正しい
僕は今でもチビのままだ
「大きくなったら何になるの?」
「宇宙飛行士!」
「無理よ。あなたの成績じゃあね」
ママは正しい
僕は宇宙飛行士にはなれなかった
「どうしてママのいうことがきけないの?」
ある日ママとケンカした
「どうしてこんなことをするの?」
「だって…」
「あなたはおかしいわ」
ママは正しい
だから僕は今、白い部屋の中にいる
ほら、ママはいつだって正しいんだ |
鎖
僕を愛して
僕を愛して
君の愛なんて要らないから
僕を愛してよ |
歩
僕は歩く
歩き 進む
右足と 左足を
交互に 出し
歩く
走れるほど
強くなくて
停まれるほど
強くなくて
だから
歩く
足を
縺れさせながら
引き摺りながら
ステップを 踏みながら
歩く
山に
避けられ
谷に
呼ばれ
歩く
汗を 流し
涙を 流し
血を 流し
涎を 内臓を 鼻水を
精液を 嘘を 愚痴を
妄想を 悪態を 夢を
曝け出し
歩く
先に行き
善人面で笑っている奴ら
後に来て
得意顔で笑っていく奴ら
遙か遠くで
進む 人たち
どこかへ どこへ
歩く
歩く
歩く
歩く
歩く
この先が 奈落でも
僕は
歩き 進む |
まりあ
まりあ
ねぇ まりあ
どうして泣いているの?
どこか痛いの?
ケガをしたの?
だから 泣いているの?
ふぅん
僕もね 痛いんだ
まりあがね
つけてくれたキズが
とっても とっても
痛いんだ
両の手の 傷痕よりも
どんな 哀しみよりも
痛くて 痛くて
もういっかい死んじゃうくらい
痛いんだ まりあ
でもね まりあ
この痛みのおかげで
僕はね
まりあを憎むことを
忘れられずに すむんだよ
この痛みがあるから
僕は ここに在ることができるんだ
まりあの犯した過ちは
ねぇ?まりあ
わかるよね 僕の大好きなまりあ
それはね
僕を産み落としたことだよ
まりあ |
螺旋回廊
排泄等の行為には殆どの場合、快感が伴うという。
膿を吐き出す行為にも、
何らかの快感が伴っていると言えるだろう。
私が日々吐き出す膿は、贖罪ではなく。
ただ己の為だけに行っている好意に過ぎない。
懺悔などという救われる為のモノではなく。
私は、自らの吐き出した膿の中で、
救われる可くも無く足掻き続けている。 |
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言語野
僕の仕事は
種子の採取です
毎日
種子を探しては
小さな箱に収め
いつか
野に蒔くために
今は
標本のように
大切に
仕舞っています
僕の野原には
ただ
風が吹いているだけで
一輪の花も
咲いていません
僕にあるのは
種子だけで
アナタに分けられる
花は無くて
だから
今は
風を送ります
僕が出来ることは
これだけだから |
誘
この手が赫く染まっているのなら
アナタは振り向いてくれますか
焼けるまでの想いが有るのなら
アナタは振り向いてくれますか
僕の内の醜さを晒しているのなら
アナタは振り向いてくれますか
全てを受け止める腕が有るのなら
アナタは振り向いてくれますか
白濁した海の中を佇んでいるのなら
アナタは振り向いてくれますか
紅い涙で頬を濡らしているのなら
アナタは振り向いてくれますか
真実を語る唇が有るのなら
アナタは振り向いてくれますか
僕の心が止まっているのなら
アナタは振り向いてくれますか
月を捧げ星を贈ったのなら
アナタは振り向いてくれますか
その生命を停めたのなら
アナタは振り向いてくれますか
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トランキライザー
君の快楽のために
君を抱いたんじゃない
コレはオレのエゴさ
全部そうさ
オレを満たすためなら
何だってやってやるさ
次の瞬間に地に堕ちたって
オレ自身の快楽があるんだったら
そうそう
君の値段はいくらだい?
オレのは…そうだな
N.Y.よりも安いだろうよ
★
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(或ル旅人ニ捧グ)
アナタハココニ在リマス
アナタハココニ在ルノデス
コノ世界ガ死ンデシマッテモ
ワタシガ無クナッテシマッテモ
アナタハココ在リマス
ダカラ
アナタノ存在ヲ
無クサナイデ下ダサイ
★
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祈
アナタノスベテヲ手ニ入レル
アナタノスベタヲ打チ壊ス
アナタヲ欲ッシ
アナタヲ壊シ
粉々ニナッタアナタノナカデ
濡レタ僕ヲ嘲笑ッテヨ
神様!
★
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