ルシファー様

椅子
 
無機質な壁に囲まれた 小さな部屋
中央に ポツン と椅子が置かれているだけの
小さな 小さな部屋

神父様に促されて 椅子に腰掛ける
望む物など 何もない
例え望んだとしても 叶わぬ夢だから・・・

小さな部屋に 響く祈りを聞きながら
戦慄が 身体を走り抜けていった・・・

無機質な壁に囲まれた 小さな部屋
椅子だけが ほんの僅かな時間だけの
新しい住人を 待ちつづけている
落ちてゆく快楽に溺れ
人の衣を纏った獣達
互いを貪り
腐り果ててゆく
歪んだ魂

今宵もまた
餌食を求め
さまよう瞳

漣の唄に 身を委ねし者よ
虚ろな瞳に 何を映しだすのか


乱舞する 桜吹雪が
私を 狂わせたのか・・・

深く沈めた記憶が甦る

― 憎しみ ―

― 怒り ―

― 復讐 ―

我が刃は
血の滴りを求め
未来永劫を
破滅に落とし入れんと
闇をさまよい続ける

狂乱する 私の心は
誰にも止める事など
出来ぬであろう

たとえ
たとえ、お前であったとしても・・・

懺悔

黒き羽根に惑わされ
罪を犯した天使は
片翼を失い
失意の牢で
堕天使になる事も許されず
重き十字架を架せられる

お前を裏切り、傷付けた男の
断末魔を聞くがいい
永遠に消える事のない
不様な姿を目に焼き付けるがいい

それでお前が癒えるのならば
私は、自らの命すら
惜しくはない・・・